黒猫*溺愛シンドローム
「……なんで、そんなに離れて座るのかなぁ?」
王子もさすがに呆れてるみたいだけど……
「しかもそっち、日陰でしょ?寒くないの?」
「ご心配には及びませんので、気にしないで下さい。」
思いっきり距離を取って、背を向けて、“迷惑オーラ”全開で答える私。
……本当はめちゃくちゃ寒いけど。
教室のがマシ、って思えるくらいに冷えるけど。
アイツの傍に近づくよりは、全然マシ!
絶対に、何かしてくるに決まってるんだからっ。
「そんなんじゃ、ひなたぼっこにならないよ…」
大きくため息をついて、おもむろに立ち上がった…らしい王子。
びくっと体を強張らせたものの……
「じゃあ、ほら。景色でも見ようよ?けっこういい眺めだよ?……あ。体育やってる。」
フェンスに近づいただけのようで。
「なんか、上から見下ろすのって変な感じ。」
呑気に呟いている。
「ほら、浅海さんも見てごらんよ?」