ただ君が好きで、
朝普通に話しながら行くときにも、雪菜の口から他の男の名前が出るだけで声にならない黒い想いが胸に生まれていた。
俺、小さいやつなんだよな…多分。
そんな事をぼんやり思って欠伸をすると、雪菜は笑いながらこっちを見た。
『なんだよ!』
「大きい口ね~!吸い込まれるかと思ったよ!」
『んな訳ねぇだろ!大体、雪菜だってさっき欠伸してただろ!』
「私は普通の口だもーん!」
ふふん、と勝ち誇った表情の雪菜。
そんな雪菜のおでこにパチン、と軽くデコピンをすると雪菜はおでこを抑えた。
「痛ぁい!何すんのよー!!」
『油断してるからだよーっ!』
笑いながら小走りで先を行ってやると、追いかけてくる雪菜。
そんな何でもない時間が俺には、1番好きな時間でもあり、楽しい時間だった。