ある男の人生

信じられていること

私が
「無事に生活している」
と、信じる親兄弟の存在である。
 だからこそ、生きてきた。
 どんな境遇であろうとも、生きるしかなかった。
 誰にも頼ることはできなくとも、生きるのだ。
 世の中とは、
「厳しく、辛く、苦しいものだ」
とは認識している。
 それでも精神の限界以上に、肉体の限界は苦痛だった。
 日に増して、醜く朽ち果てる我が身を、私には耐えられない。
 一年分の手紙を書いた。
 これで後一年は発見されることは無いだろう。
 だからこそ今、私は旅立つべきなのかも知れない。
 良いこともある。
 悪いこともある。
 楽しいことも。
 悲しいことも。
 誰でも起こる。
 私でも起こる。
 ありがとう。
 さようなら。
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