LOVE GAME
帰路
「 行くぞ 」
車に乗ってからも笑顔で
手を振ってくれるお母さんに
少しだけ頭を下げると
車はゆっくり発進した。
「 和真 」
「 ん? 」
「 ・・・和真 」
「 なに? 」
緊張の糸が切れたのか
自分でも分からない。
「 ・・お前、泣いてんの? 」
二度と会えないわけじゃない。
家だってそう遠く離れてるわけじゃ
ないんだし会おうと思えば
いつだって会える距離。
だから、別れを惜しんでる
わけじゃない。
「 1日、頑張ったもんな? 」
”よしよし”と頭を少し乱暴に
撫で回す和真の手が温かくて
余計に涙が止まらなくなった。