虹色の三日間
教室に帰り、2年生最後のHRも終わった。みんなが帰り支度を始めたとき、山本梓が教卓に立った。そして
「今までありがとう。私ね、転校するんだ。みんな知ってるはずだけどね。一年間のお礼ってことで、クッキー配るから待って!」
と言い、前から順番にクッキーを配り出した。
今までありがとう。
元気でいてね。
泣かないでよ。
私も大好き。
彼女の一言一言が耳に張り付く。泣いている人もいれば、笑ってお礼を言う人もいる。彼女だけ卒業するみたいだ。
そして俺の番。
「宮城君。今までありがとう。」
そう言ってクッキーを渡してきた。睫毛が意外にも長い、胸がドキドキしてしまう。何か言おうと口を開こうとしたとき、彼女は自分の口に人差し指を持ってきた。そして微笑んだ。