虹色の三日間

今日を入れてあと三日で三学期が終わる。昼休憩にいつもどおり友達と弁当を食べていたとき、女子グループの会話が耳に入った。


「あのね、みんなに言わないといけないことがあるの。」


山本梓の声だ。神妙な様子に周りの女子は山本に近づく。


「私ね、終業式が終わったら岡山に引っ越すの。つまり、転校するの。」


自分の耳を疑った。高二で転校?進路に影響するこの時期に。そんな馬鹿な。今日をエイプリルフールと間違えているに違いない。


周りが驚いている。俺と同じ疑問を持った子が質問した。進路に影響するよ?何で?嘘でしょ?と


「大丈夫。どうせ働く気でいたから、成績悪くたって気にしない。それに、仕方ないの。家庭の事情だし。」


働く?仕方ない?家庭の事情?はは。笑えてくる。どうせ嘘なのだろう?そんなに話を作らなくてもいいのに。


「嘘じゃないよね?」

「ごめんね。言うの遅くなって。いろんな手続き終わって、スッキリしたら言おうと思ってて。」


< 4 / 95 >

この作品をシェア

pagetop