虹色の三日間

ポカーンって感じだったよ。俺の作り笑いに気づいた人、直接指摘してきた人は始めてだったからかなり驚いた。


森本は言ってたとおり、三年生になってから派手になり、いろんな男と噂されるようになった。俺はそれが気にくわなかった。でも、感情を出さない。自分を出したら一人になる。自分を出したら梓を助けることができない。


梓の過去を知っているのは俺だけなんだから。





高二になって裕紀と同じクラスになった。イケメンだと有名だった。自己紹介がてらどんなやつか確かめてやろうと思って近づいた。


「俺は前田宏樹、彼女いない歴16年です。」

「作り笑いしてしんどくないの?」


裕紀が俺に言った最初の一言はそれだった。次はキョトンって感じだったよ。人のことに敏感な裕紀が梓を好きになったのは必然かもしれない。


梓は俺以上に感情を出さない。感情を持っているのかも疑いたくなる。梓の演技には完璧に騙されるだろう。でも、裕紀は梓の回りの空気、オーラ、行動、何らかによって確実に引き寄せられてしまう。


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