虹色の三日間

梓のすべての邪魔はしない。でも、裕紀に近づいてほしくない。どちらとも俺には大切な人だ。裕紀が太陽なら梓は月。


梓の為に感情は出さない。森本由香への気持ちも封印する。それが俺、前田宏樹だから。


二次会が終わり家に帰った。携帯を見ても梓から返信はない。代わりに綾香からメールが届いていた。


そう言えば、送別会のとき全く俺に話しかけてこなかったな。ベットに転がり、暇潰しがてら、なんとなく綾香のメールを開く。


 ┌──────────┐
 │□沢田綾香     │
 │□**/**  **:**  │
 │あのさ        │
 │――――――――――│
 │今さらだけど本気で │
 │          │
 │好き        │
 │          │
 │メールで返して。  │
 │返さなかったら   │
 │森本のこと言いふらす│
 │          │
 │          │
 └──────────┘


いつもは通らない道をなんとなく通ったら、犬のフンを踏んだりすることない?犬のフンじゃなくて猫のフンでも大丈夫。いやいや、フンじゃなくてとりあえず嫌なこと起こっちゃったとする。んで、通らなきゃ良かったって後悔するじゃん。


そんな気分になった。いつもは開かない綾香のメールを開いたら、開いたら……………。逆に開いて良かったのかもしれない。メールを見てなかったらバラされてたんだから。


ベットに携帯を投げつけて壁を蹴る。


くそ!何で?何で?何で知ってんだよ?裕紀にもバレてないんだぞ?お前は誰から聞いたんだ?誰も知らないはずなのに…。自分で気づいた?そんな馬鹿な…。



< 65 / 95 >

この作品をシェア

pagetop