虹色の三日間

チャイムが鳴ってしまった。アリーナに向かう。終業式だ。校長の話も校歌も、あっさり終わった。教室に帰り、二年生最後のHRも終わってしまった。


綾香が梓と何かを話している様子はなく、ホッとした。問題は裕紀だ。どうすれば良い?暖かく見守るのがベストなのか?裕紀を見ていると、教卓から梓の声がした。


「今までありがとう。私ね、転校するんだ。みんな知ってるはずだけどね。一年間のお礼ってことで、クッキー配るから待って!」


と言い、前から順番にクッキーを配り出した。さすがだな、梓は本当に心を表に出さない。俺にはメールで出してくれてたが、直接はない。向こうに行ってもメールは続くんだろうか?


今までありがとう。
元気でいてね。
泣かないでよ。
私も大好き。


彼女の一言一言が聞けば聞くほど笑えてくる。俺の番になった。


「前田君。今までありがとう。」

そう言ってクッキーを渡してきた。何か言おうと口を開こうとしたとき、梓がおもいっきり睨んできた。


「む、向こうに行っても元気で。」


そう言った。てか、私的なことを言ったら殺される気がした。だから、こんなことしか言えなかった。


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