虹色の三日間
「大丈夫。どうせ働く気でいたから、成績悪くたって気にしない。それに、仕方ないの。家庭の事情だし。」
「嘘じゃないよね?」
「ごめんね。言うの遅くなって。いろんな手続き終わって、スッキリしたら言おうと思ってて。」
みんなうつ向き、お葬式みたいな雰囲気を作り出した。悲しいふりをする子もいれば、本気で悲しむ子もいる。涙を浮かべている子までいる。みんな腹のそこで何を思ってるのか分からない。
私は、次の引き立て役を誰にしようか考えていた。梓のくせに、三日前に言うとかありえんし!私が次の引き立て役を見つけるまで三日しかないのよ?まったく、何を考えてるのかしら!
「……っと、ごめん。」
「綾香!?」
泣く真似をして教室から出る。みんなこう言ってるだろう。綾香は梓の親友だもんね、涙が止まんないんだよ。絶対嫌だと思ってる!私たちも嫌だよ!梓が転校するなんて考えられない!ってね。
考えただけでヘドが出る。表で良いこちゃんを演じれば、みんな仲良しになれる。梓みたいな素直で無垢で馬鹿でアホな子は始めて見た。悪口を言わないし、言うことは聞くし、何より人をすぐ信じる。見た目は普通だし、男受けはまぁまぁだし、引き立て役にぴったりだったのになぁ。