オリオールの乙女

「オリオール神話のことかしら?ノエルはそのお話が大好きね」

ディディエは、細い指で娘のシルバーの髪を撫ぜながら、そう言った。

「好き。早く」

ノエルは輝く眼でそう言った。母は、目を細めると、子守唄のように話し始めた。





――人間と神様が共存していた頃の、遥か昔のこと。かつて、空に浮かぶ美しい土地がありました。その土地の名は、オリオール。

オリオールは自然に溢れ、いつも安らかな風が吹き、小鳥たちもいつも歌を唄っていました。そしてオリオールは巨人の神たちの住む土地でもあったのです。

しかし、そんな平和な地に移住してきた人間がいました。彼らはトリヴ人といいました。

トリヴ人は神様と暮らすことを拒み、禁断の魔術を使って巨人たちの存在を消してしまったのです。

< 3 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop