オリオールの乙女

自分たちだけの聖地を手に入れたトリヴ人でしたが、彼らはまたしても仲間割れをし、戦を繰り返し、最終的には滅んでしまったといいます。

それから何百年もたち、オリオールは雲の中に隠れてしまいました。もしかしたら、巨人たちが舞い戻って再び美しい土地を守っているのかもしれません。

もう二度と、人間たちの手に触れさせないように……。

――





いつも決まって、ノエルは途中で眠りについていた。

「あら……」

それを見つけたディディエは、聖母のような微笑みを向けると、真っ白な布団をふわりとかぶせるのだった。
そしておでこにキスを落とすと、未来のプリンセスにおやすみを告げるのが、幼少のノエルのお決まりだった。

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