オリオールの乙女

廊下をすれ違うたび、高飛車な女たちがお互いを挑発するように見下して、鼻で笑い合う光景が当然のように見られた。
召使いたちの間でさえ、派閥が出来上がっていた。

もう、険悪なムードのシャルロワ城にはうんざりだった。

ノエルは逃げるようにして、大聖堂に塞ぎ込んだ。

黒いファジールが現れて以来、少しずつ変わり始めたものが、大きな変化の波を作ろうとしていた。

母が死に、ノエルはこの城の中で自分の良き理解者をなくし、どんどんと存在そのものまで小さく消えかけようとしていた。

以前の明るくておてんばなノエルは、どこにもいなかった。

ルカッサには沢山の伝説が残っていて、その中に『アルドネの洞窟』というものがある。

昔、この豊かなルカッサの陽気な音楽に誘われて、一匹の魔物が天界より舞い降りた。名はジュラーム。

< 47 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop