オリオールの乙女

ジュラームは醜い化け物で、それを恐れた人々は司祭や精鋭騎士たちと共に戦ったという。

だが、ジュラームは決して獰猛な魔物ではなかった。

一説によると、この汚れた人間界の邪悪な心を一掃するために神が産み落とし、人間たちの邪悪な心を食いすぎて醜く、哀れな姿になったという。

ジュラームは人間たちによって、アルドネ海の奥深く、深海の洞窟に今も生きたまま閉じ込められているという。

ときおり地面が激しく揺れたり、大きな波が沸き立つのは、ジュラームの怒りとも言われている。

しかし、ジュラームは人間たちの荒んだ心を察知しては、警告を発しているとも言う。

ノエルが今、大聖堂で目の当たりにしているのは、ジュラームの古い彫刻だった。

片目は腐れ、牙は剥き出し、何ともごつごつした体。

ノエルは、ジュラームの体をそっと撫でた。

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