オリオールの乙女
そういえば、以前マルコヴィッチが花を届けにきたとき、床の中に引きずり込まれたシーンが、ノエルの脳裏に浮かんだ。
でも、今日、ノエルは城内でマルコヴィッチを見かけた。そして、ギルだって。
「けれど……その魔法陣はどうなったの?」
ギルは誇らしげに、窓を指差した。
「見てみろ。今日は何の日か、分かるか?」
「……新月?あ……分かったわ!新月の日は月が出ないもの。バルバラの魔力が弱まる日だわ」
「お利口なプリンセスだ」
ギルはそう言った。
「そこで、何とボドワンさんは白魔術に詳しい人でね。今日ここに来てただろう?
時計の修理なんてただの口実。あいつの魔法陣をちょっといじってくれたってわけさ」