オリオールの乙女

二人を乗せたマジャッラは、目にも留まらぬ速さで窓から外へ出た。ノエルの部屋の明かりが、ぐんぐんと小さくなるほど、マジャッラは高く高く飛んでいった。

「逃がすものか!!」

血走った目で、バルバラは再び杖を構えた。

「オパスク!」

すると、ノエルたちの背後から取り囲まんと闇がググッと迫ってきた。

「ギル!!」

「ああ!」

マジャッラも負けまいとぐんぐん加速して空へと逃げる。しかし空もまた闇だ。唯一の月も出ていない。

その時、マジャッラの尻尾が闇に捕まった。マジャッラが苦しそうに悲鳴をあげた。

「大丈夫か!?」

ぐらりと体が傾いた。マジャッラは闇に吸い込まれた。ノエルは、もうダメだと瞬時に悟った。

下へと吸い込まれるようにして体が空中に舞った。ギルが精一杯手を伸ばしたが、むなしく空をきった。

< 85 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop