オリオールの乙女
二人を乗せたマジャッラは、目にも留まらぬ速さで窓から外へ出た。ノエルの部屋の明かりが、ぐんぐんと小さくなるほど、マジャッラは高く高く飛んでいった。
「逃がすものか!!」
血走った目で、バルバラは再び杖を構えた。
「オパスク!」
すると、ノエルたちの背後から取り囲まんと闇がググッと迫ってきた。
「ギル!!」
「ああ!」
マジャッラも負けまいとぐんぐん加速して空へと逃げる。しかし空もまた闇だ。唯一の月も出ていない。
その時、マジャッラの尻尾が闇に捕まった。マジャッラが苦しそうに悲鳴をあげた。
「大丈夫か!?」
ぐらりと体が傾いた。マジャッラは闇に吸い込まれた。ノエルは、もうダメだと瞬時に悟った。
下へと吸い込まれるようにして体が空中に舞った。ギルが精一杯手を伸ばしたが、むなしく空をきった。