オリオールの乙女

「年に一度、デュタ星が一番高く昇るとき、それに引っ張られるようにしてオリオールもやって来る。

だからあのデュタ星の向こうには、本当にオリオールがあるんだよ……!」

ノエルは信じられなかった。キャトラだけが、優雅に鳴きながら闇夜を舞っていた。



「もう朝だ」

あれから何時間も、キャトラは雲の中を飛んでいた。

周りはふわりとした白い雲ばかりで、前も全く見えず、方向すら掴めない。

ただ、昇りかけている太陽の光だけがぼんやりと雲の中に差し込んでいた。

「ギル……何だか怖いわ」

ノエルは冷たくなった手で、ペンダントを握り締めた。吐く息も、うっすらと白い。

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