オリオールの乙女
ギルがとっさに大声を出した。ノエルは分かっていた。けれども、あまりの衝撃に声が出なかった。
キャトラの進む方向に、お城がぽっかりと浮かんでいた。
美しいその城の周りには木々が生えていて、あとは切り立った崖のようになっている。
空の中に、城だけが浮かんでいるように見えた。
雪が降っているのだろうか、その地は白く、異常なほど美しく見えた。
「……オリオール?」
ノエルは詰まった声でそう言った。
ノエルの肩を掴むギルの手に、力が入る。
二人が夢見たオリオールの地は、想像以上に美しく、神秘的だった。