ダイヤの原石
ぶつかったのはどうやら佳奈だったらしい。


佳奈が座り込んでいる。



「うわー、髪ばっさり切ってんじゃん。



まじきも」


愛莉が上唇を少し上げながら言ってきた。



とにかく急がないと!


私は無視して愛莉たちを避けて走ろうとしたが道穂に首元を強く押されてよろけた。



「そっちからぶつかってきといて何も言わずに逃げるわけ?」



私は俯いたまま何も言わなかった。


「調子こいてんじゃねぇよ!!」



次の瞬間頬にかわいた音と共に痛みが走った。


じわじわと頬に熱が伝う。



私は前髪の隙間から愛莉をきっと睨みつけた。



「土下座して佳奈に謝れよ」



私は拳に力が入った。



どーげーざ!どーげーざ!っと土下座コールが始まった。



5人の声は大きく、近くで廊下を歩いている生徒がこっちを振り向いてくる。
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