ダイヤの原石
今ここで言い返したり殴ったりすれば面倒なことになる。



とにかく今は遥夏と椿、そして美樹が待ってる・・・!


今・・・ここを土下座をして通れるならば・・・・・・!



私は拳の力を更に加え、怒りを閉じ込めて一つ深呼吸をした。



土下座コールはまだ止まない。



上の渡り廊下からもたくさんの野次馬が顔を覗かせている。



その中の一人の男が面白そうに思ったのか愛莉たちと同じように土下座コールを始める。



するとその男の友達が同じように言い始める。


するとまわりの人もまわりを見ながら無言で頷きあってコールを始める。



ついに私のまわりは土下座コールで盛り上がっていた。



気付いた何人かの先生が止めに入るが一向に止む気配がしない。



私は頬をビンタされて痛いせいか、


皆からコールを浴びせられて心が痛いせいか、


こんな惨めな自分の弱さのせいか、



涙がぼろぼろと溢れ出てきた。



頬を伝う涙が頬の熱を冷ます。



私はゆっくりと足の力を抜いて膝を床につく。

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