ダイヤの原石
その様子を見て何を思ったのか長谷川は小さく笑ってちょっと待っててと私に言った。



そして戻ってきたとき長谷川の手には懐中電灯が握られていた。



「何かわけありなのね?先生はあなたを信じるわ」



そう言って懐中電灯を私の手に握らせてきた。




私は顔を上げて長谷川の目を見た。



「放課後までには私のもとに返しにきてね?いい?」



「ありがとうございます・・・!」



私はそう言ってすぐに職員室から飛び出した。



「は、長谷川先生困りますよ、



生徒に勝手に懐中電灯を渡すなんて・・・」




近くにいた教頭が言う。



「放課後までにあの子が戻しにくれば問題ないでしょ?


戻って来なかったときは責任はすべて私が取るわ」



「そういう問題じゃな・・・「何にしても懐中電灯は放課後の校内の見回りにしか使わないでしょう?」



教頭は黙りこくった。
< 105 / 126 >

この作品をシェア

pagetop