ダイヤの原石
やっと2人のもとにたどり着いて呼吸を整える。


「ありがとう、ご苦労だったな」



椿が私の背中をポンポンと軽く叩いた。


「にしても遅かったね、何か・・・あった?」



遥夏に顔を覗かれ、私はつい顔を逸らしてしまう。



泣いたあとの顔を見られたら役に立つどころか何をさせてもだめだと思われてしまう。


「よし、とりあえず急ごう」


椿が冷静に言った。



私たちは無言で歩き始めた。


5羽ほどのカラスが上空で鳴いている。



森の中へ足を入れると想像していたよりも視野が狭くなった。
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