ダイヤの原石
まわりを見渡せば長さがほぼ等しい3メートルほどの木ばかり。


その木と木の間にはまた奥にある木ばかり。


もう一度前方へ目をやる。


左右よりも更に奥が長そうで徐々に暗い。



木が多すぎてまだ朝だというのに日が射してこない。


私は思わずうしろを振り返ってしまった。



はるか50メートルほど先には5分前まではいた学校が寂しげに見える。


学校を見ただけで学校というものがとても恋しく感じた。



「戻るなら今のうちだぞ」


私ははっとして椿のほうを向く。



「べ、別に戻りたいわけないじゃ・・・」

< 108 / 126 >

この作品をシェア

pagetop