ダイヤの原石
左のこめかみに汗が伝う。


「あたしはあれから目覚めたとき、何が起きたか分からずにいた。


記憶はもちろん遥夏と一緒に錠剤を飲んだとこまで。


でも隣には誰もおらずただいくつかの錠剤とからっぽの瓶だけが残されてあった。


あたしは遥夏があたしだけを殺そうとしたなんてそのときは思わなかった。


思いたくなかった!!遥夏がそんなことするはずがない!


だって約束したんだもの・・・ずっと一緒だって・・・

きっと遥夏は野犬にでも連れてかれた・・・あるいは遥夏にはまだ息があると悟った人がきっと病院に連れていったんだと・・・


ずっと自分に言い聞かせてきた!


あたしは意識が朦朧とした中、ふらふらと家に無事たどりついた。


最初はやはり親がひそひそとおかしくなったんじゃないかと囁いていた。


ついに親はあんたはうちの子じゃない、出て行けって怒鳴った。


あたしは彷徨っていた。


時間が流れていくうちにあたしは思えてきたんだ。


もしかしたら遥夏に捨てられたのかもと。
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