ダイヤの原石
消しゴムがたくさんとんでくる。

机の上にも3個落ちた。


でもちゃんと先生の話を聞いているといった態度をずっと保っていた。

ふと山崎が振り向いた。

「んじゃぁこれから役わ・・・り分担を始める。」


愛莉たちが消しゴムをこっちに投げていたのが見えていても山崎は愛莉たちを見るだけで何も言わない。


注意すらもしない。

わかってる。


そもそも『先生』という人間にそんな期待もしていない。

先生がこっちを向いた途端に愛莉たちは何もしてませんというように机に肘をついてセミロングでウェーブがかかっている髪をくるくるといじりだした。


そこから役割分担が坦々と進んでいった。


「おい。誰かおらんのか?トイレ掃除は。」


クラスの大半の人は掃除場所が決まったが、私や残り数人は決まっていない。

愛莉たちは席の離れている佳奈(かな)や麻子(まこ)もイスだけ持っていって5人集まり、何やらひそひそ話している。

やがて愛莉が手を挙げて立ち上がった。


「はーい、せんせ、あたしたち5人と高峰さんでトイレ掃除しまーす!」


えっ?!

すかさず愛莉の方をを振り返る。

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