ダイヤの原石

「椿！！！！！」


私は喉が裂けるような甲高い叫び声で名前を呼んだ。


椿がその声に振り向こうとした瞬間、歩夢によって振り下ろされたラグビーボールくらいの大きさの石によって椿の体は地に叩きつけられた。


ガツンというひび割れたような音がすると共に私は悲鳴をあげた。


続いて歩夢が2回目を振り下ろそうとしたが椿はナイフを取って歩夢の右肩を斬りつけた。

その瞬間、血が飛び散った。


歩夢が奇声をあげる。


ナイフは肩に刺さったままだった。


遥夏はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。


歩夢が持っていた大きな石は手から落ち、地に落ちた。


歩夢が左手で右肩を支えるようにして丸まっている隙に椿は立ち上がる。


頭から血が流れて右目を伝っている。


そのため右目を閉じてかろうじて左目だけを開けている。


歩夢が苦しそうに肩からナイフを抜く。