ダイヤの原石
でも、それも今日でもう終わり・・・」


私はうまくわからなかったが彼女が言おうとしていることがようやく頭の中で察してはっとした。


歩夢は膝をゆっくりと下ろし、地に落ちている血まみれのナイフを手に取る。


私は手を伸ばして足を前に踏み出した。


歩夢はそのままナイフの刃先を胸元に一度当て、振りかざす。


「だめよ!!歩夢さん!!


やめてええええ!!!!!」


勢いよく振り下ろされたナイフは彼女の胸の奥深くまで突き刺さった。


「こん・・・ど・・・は・・・ひと・・・りで・・・い・・・くわ・・・」


そう言って歩夢の体はゆっくりと地に倒れた。


次に椿が、遥夏もが膝からがくんと倒れた。


足が今にも崩れそうなほど大袈裟にがくがくと震えている。


私はショッピングというイベントだからと思って持ってきていた携帯電話をポケットから取りだし、110番をおぼつかない指で押した。


『はいもしもし110番警察です!』

「・・・東京都港区新橋○丁目○-○。


○○中学校西側山奥森の中小川・・・・・・」


そう言って私はがくっと倒れた。

手から落ちた携帯から何か叫ぶような警察の声が聞こえた気がするが、意識が薄れていった。

< 123 / 126 >

この作品をシェア

pagetop