ダイヤの原石
へー、この人が美樹さんの彼氏・・・。

ん?彼氏?


「ええええ・・・!!」


あまり大声をあげない私が少し小さな大声をあげた。

髪は椿くんと似ていてさばっとしていて色は前髪らへんの左側だけ赤色、黒縁めがねの奥にある目はおっとりしていてクールそうだ。

とても純粋そうな人だった。


そして意外だった・・・。


あの美樹さんの彼氏がこんな真面目そうな人、いや、その前に美樹さんのようなものすごい天然の人でも彼氏ができるところにびっくりした。



「もうクラス発表見た?」


美樹さんが顔を覗き込ませて聞いてきた。


「いえ、まだ見てません・・・。」


「んじゃ、みんなで見にいこうか。」


遙夏くんが落ち着いた声で言った。


その一言を合図に、皆が歩き出した。

ちらっと遙夏くんを見た。


椿くんがもう1人転校生がいると言ったとき、美樹さんがやめてと言ったのは彼氏だということを面白そうに椿くんにいわれて恥ずかしかったからなのかも。


遙夏くんがこっちの視線に気付いた。

マスクとこの長い前髪で顔が見えない私に一瞬驚いたような表情を見せた。


すると突然遙夏くんの手が近づいてきて私のおでこに触れた。

私は突然のことで体がびくっとした。


彼は私の前髪をその大きな手で分けて「この方が可愛いよ。」と微笑んで言ってくれた。

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