ダイヤの原石
前髪が分けられ、片目が彼の視線と合った。


久しぶりに人と目が合ったからなのか、胸がドキッと高鳴った。


優しい彼の瞳に吸い込まれそうになった。



ふっと小さく笑って遙夏くんはまた歩き出した。


私はその場に突っ立って彼に見惚れていた。

「かっこいいでしょ。」


突然耳元で美樹さんに囁かれてぞわっとした。

「み、美樹さん・・・!」


「あたしもあのやばさにもうきゅんきゅんになったの!」

ものすごく喜んでいる美樹さんに私は苦笑いをした。


「でも惚れちゃだめよ?」


「ほ、惚れるわけないじゃないですか!!」

「顔赤いってばさ!」


はっとして頬に手をあてる。

「あと、その堅苦しい呼び方やめてよね、美樹でいいよ!」


「えと、美樹・・・さん・・・」

じろっと睨まれた・・・。

「み・・・き・・・さん」


ついに無視して歩き出した。


「みき・・・・・・・ちゃん!」


美樹さんが振り向いた。

「ま、それでもいっか!まだ身近に感じられるしね。」



そのとき私は美樹さんと喧嘩になったら絶対やばいと思った。

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