ダイヤの原石
椿くんはマスクをどっかうしろの方に投げ、


机に置いてあるはさみを取り、私のほうを振り返った。


「次は前髪だ!」



椿くんはおりゃおりゃと言いながら私を追い回してくる。


私は頭をかかえながら必死に狭い部屋の中を逃げ回った。


「鬼だ。」


「鬼だな。」

「つーか面白がってるじゃん!」


美樹が笑いながら言った。



「椿、遊ぶのはそこまでにして早く本題に入らないか?」


「もう本題に入ってんじゃねぇか、


待ってろ、今俺が前髪をジョッキン!


ってやってやるからよ!」


「いやぁ~!」


突然腕をつかまえられた。



私は体勢を崩し、床に仰向けに倒れた。

「よし!もう逃がさん!」


私の上に椿くんが乗っかった。



「ぅわー・・・。椿強引だなぁ・・・。」


「見てるこっちまで恥ずかしくなってくる・・・。」
< 48 / 126 >

この作品をシェア

pagetop