ダイヤの原石
美樹たちを無視して椿くんは前髪にはさみを近づけてくる。


「ぃやめてください!!!」


私は咄嗟(とっさ)に大声で叫んだ。



私はハッとして口を塞いだが遅かった。




美樹ちゃんも遙夏くんも椿くんもびくっとして驚いている。


この際もう何でも言ってしまえと思った。


「私は変わる気もありませんし、

変わりたくもありません!


人に見られるのが嫌で何が悪いんですか!


人が地味に生きることを願って何が・・・!」


「悪かねーよ。」



私は椿くんの発言に驚いた。


「おまえが変わりたくないなら変わらなければいい。


地味に生きたきゃ勝手に生きろ。」



さっきまでとは違い、冷たい口調だった。


「ちょっ!椿!」



私は椿くんを強く睨みつけ、突き飛ばし、何も言わずに部屋から出て行った。



階段を強く音を立てながら降りて、靴のかかとを折って履き、玄関を出た。


「お邪魔しました!」
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