ダイヤの原石
制服の袖で涙を一生懸命拭いていると、急にうしろから引き寄せられた。


「えっ・・・」



そのままうしろから腕を回され、優しく私の体を包み込んでくれた。


「もういい、俺も昨日言い過ぎた」



耳元で優しく椿くんは囁いた。



「ただ、その『椿くん』てのはやめてくれ。

俺らはそんなちんけな仲じゃねぇだろ?」



「・・・あはっ!そだね・・・」


私は仲直りできたのが嬉しくて自然と笑顔になった。



「何だよ、泣いたと思ったら笑って・・・、


意味わかんねーだろ」



私の頭をなでながら椿は言った。


「あーもしもし、そこー!


廊下でイチャイチャしないでほしーなー?」


美樹ちゃんと遥夏がいつの間にかうしろにいた。


廊下って言えば廊下だけど、4階だから全然人がいない。



「ほぼ毎日放課後、下足場で熱いキス交わしてんのはどこのどいつだ?」
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