ダイヤの原石
『字とはその人の性格を表し、今のその人の心情を表す、相手の全てが見てとれるものだから綺麗で純粋な心を準備してから書くものなんですよ。』


と、優しく話してくれた。


『例えば荒く殴り書いたような字は心の乱れ、字が小さければ今の気分があまり乗らないこと･･･
「あるいはその人はあまりしゃしゃりでるような人ではないことを表す。
逆に、大きく派手に書かれた字は、その人が今楽しいという心を示す･･･。」



校門の前で突っ立ったまま、私はいつのまにか感情に浸っていた。

美華先輩が言っていた言葉を思い返していたら口から言葉がこぼれてしまっていた。


気付いたときには時既に遅し、近くにいた1年生がちらちらこっちを見ながら校門をくぐって行った。


「･･･････。」


まぁとりあえず教室に行こう。



ガラッとうしろのドアから教室に入り、そのまま一番前で窓際の自分の席に直行する。


下を向いたまま歩き、イスに腰掛けようとして動きを止めた。


イス全面に小さな押しピンが散らばっている。


「････････。」


小さな笑い声が少し離れたところで聞こえた。


私は俯いたまま、イスを持ち上げ、そのままゴミ箱まで直行した。


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