ダイヤの原石
帰り道が別れる曲がり角で二人は立ち止まった。


そのままバイバイって言って帰ろうとしたら美樹ちゃんが振り向いてきた。


「そろそろいんじゃない?


あたしのこと『美樹』って呼んでも。


あたしも『千尋』ってあんたのこと呼ぶからさ?」


「あ、うん・・・」


「ほら、呼んでみて?」


「・・・・・・・・」


突然でちょっと恥ずかしいのもあるけど・・・・・・



「美樹!ありがとう!!」


私は美樹のことをいつしか"親友"という存在だと思い込んでいた。


「あいさ!どういたしまして、千尋!」



美樹は右手を頭部に掲げて敬礼してにんまり笑った。


それを見て私も同じように敬礼のポーズをした。



すると突然涙腺が緩んだように自然と涙が頬を伝った。



「あ・・・あれ・・・、なんで・・・・・・ぐすっ・・・」



美樹は「何泣いてんだよ~」と言いながら私を抱きしめてくれた。



私はそれに答えるようにわんわん泣いた。
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