ダイヤの原石
「じゃぁ、かくれんぼしよう!!


お兄ちゃん鬼ね!!」


そう言って海斗はリビングの近くの隠れ場所を探しに行った。



「1・・・2・・・3・・・」


壁に両腕を当てて10秒数える。


「もういいかーい」


叫んでみると小さな声で「もういいよー」と返ってきた。


海斗のお気に入りの隠れ場所はカーテンのうしろ。


カーテンの下の隙間からいつもちょこんと足がはみ出ているからわかりやすい。


「見っけ」



見つけたと同時にコチョコチョとお腹をくすぐった。


「キャハハハやめて兄ちゃん!」


「はい、元の場所に戻ろうか」


海斗の背中を押しながら定位置に戻る。


そのとき、携帯が鳴った。



メールだ・・・。


「・・・ちょっと待ってな海斗」


海斗は大きく首を縦に振り、遥夏の片足に抱きついてそわそわしていた。
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