ダイヤの原石
俺はほっと一息つき、口の中からぺっ、と錠剤をすべて吐き出した。


そして歩夢の耳元で「歩夢、愛してるよ」とだけ囁いた。


その場にいたときは心の中でずっと「ごめんな、ごめんな」と繰り返していた。


俺はそこから歩夢の頭をゆっくりと持ち上げて川原に移した。



はっ!


ガバッと俺は飛び起きた。


服が汗でびしょびしょになっていた。


ふと隣を見て2度見した。


隣に歩夢がいなくなっていた。



即座に携帯に手をのばし、ずっと封印していた携帯番号、


歩夢の携帯電話に電話をした。


プルルルルル・・・・・・プルルルル・・・ガチャ


もう使われていないかもと思っていたが繋がった。



2コールででた。


「遥夏ー?」


「っ!」


「わぁ、嬉しー!


遥夏のほうから電話をくれるなんて!!」

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