ダイヤの原石
もし冷静でなくなってしまったなら美華先輩との約束を破ってしまうことになるから。



今までに、筆箱の中を全てバラーッと出されたり、ノートを千切られたり、体操着をトイレに投げられたり、いろんなことをされてきた。


でも私は常に冷静な判断だった。


「幽霊女もかてぇな~」

「負けず嫌いなんじゃない?」


まわりのヒソヒソ声が嫌でも耳に入ってくる。


私はここにいるのが嫌で席を立ち、足早に廊下にでた。



廊下は苦手だった。

嫌でも人の前を数センチしか離れていない距離で歩かないといけないのがすごく嫌だった。


だから私が廊下に出ることは滅多にない。

自分を見られることが本当に嫌だ。

俯いたまま足早に人の少ないところにいく。


歩いている途中、幽霊だとか言って避けてくれる人も数人いた。

あぁ、皆が皆こうだといいのにな・・・

私はこの長い髪で顔を隠し通すことができる。



< 9 / 126 >

この作品をシェア

pagetop