アイツは私の初彼氏
恋より好きなもの
「葛原先輩!これ、読んで下さいね!」
手渡されたのは、可愛いハート折りされた手紙。
彼女はそれを手渡した途端、友達と騒ぎながらその場から走り去っていった。
「何お前、また手紙もらったのか」
靴を履き替えながら、幼なじみの克幸がため息をつく。
「はん、羨ましーんだろ?」
手紙をヒラヒラ目の前で振ってみせる。
「……別に」
けれど克幸は興味なさげにそう言うと、スニーカーを下駄箱に放り込んだ。
「つっまんねー奴!」
「今更だろ?大体、女が女からモテて何が嬉しいんだ」
克幸は私と並んで、少し上からの目線で見下ろすと鼻で笑った。
そう、私は女だ。
< 1 / 116 >