アイツは私の初彼氏
「それじゃあ聞くけど、克幸は私の事が好きなのか?」
「なっ……そこからかよ!」
「仕方ないじゃないか。私、克幸から一度もそんな事言われてないし」
「そういや、はっきりとは言ってないな……」
「だろ?」
私が得意気にそう言ってやると、克幸は憮然とした顔になった。
「それにしたって、態度で気付いてもいいだろ?」
「それじゃ自意識過剰みたいじゃんか」
「……」
2人でしばし睨み合う。
朝一で何やってんだっつーの。
「……あーもう、分かったよ」
諦めたようにそう言うと、克幸はベンチから立ち上がり背を向けた。
「確かに俺も悪かった。つまんない嫉妬ばっかりしたし、あきらかに避けたりもした」
克幸は首に手を当て、空を仰ぐ。
困っている時の、アイツのクセだ。
「だから、ちゃんと言うよ。さお」
振り向いた克幸の顔は、決心を固めたというような表情だ。
克幸がゆっくりと、ベンチの私に手を伸ばしてきた。
これってつかまれって事かな……?
私が恐る恐る手を伸ばすと、それを力強くつかんで引き上げる様に私を立たせた。