アイツは私の初彼氏
けれど、ここ数日の間に私の中では確実に変化が訪れていて、それは今の克幸の言葉に触発された様にはっきりと浮かび上がってきた。
「あのさ、私も克幸の事好きだと思う」
「……ホントか?」
「うん。今までみたいに幼なじみとしての好きとかじゃなく、克幸の事を男子として意識してる」
「そっか……」
背中に回されている克幸の腕に、少し力がこもるのを感じた。
「初めは、さおに嫌われてさえいなければいいと思ってたのにな……」
克幸が苦笑する。
「やっぱり、それじゃダメだったみたいだ」
「今なら私も、そんな気持ちが分かる気がするよ」
「本当かー?恋愛初心者のクセに」
「うっさい、バ克幸!」
「それ、何か久々聞いたわ……この、さ男オンナ!」
「うわ、ゴロわる~」
抱きしめあったまま言い合った私達は、抱きしめあったまま大笑いした。
これが私達なんだ。
いい雰囲気なんて皆無だけど、きっとそれでいいんだと思う。