アイツは私の初彼氏
実を言えば、克幸に再び突き放されたあの後に、私は奏真から告白された。
「オレね、沙織ちゃんが好きだよ」
約束通りにおごってくれたクレープを手渡しながら、奏真は言った。
「あ?うん」
「や、これ真面目な告白だから」
「え?えっと、ありがと……」
「いえいえ。ちなみに返事はいらないから」
「そう、なのか?」
そりゃ、返事ったって困るけどさ。
「だって沙織ちゃんは伊波が好きでしょ?」
「ち……」
いつもの勢いで違うといいかけて黙る。
好きというには恥ずかしい気がするし、嫌いとは言いたくない。
何と言っていいか分からなくて困っていると、奏真はポンと私の頭に手を置いた。
「その続きは、伊波に聞かせてあげなきゃね。もう一度アイツに向き合えば、きっとはっきりするよ」
それが、一昨日。
で、何で今日はこれなんだ?
私が思い切り困った顔をしていると、奏真が小さい声で言った。
「良かったね、沙織ちゃん」
「えっ?」