アイツは私の初彼氏
思わずポカンとする私に笑いかけた奏真は、あの日の様に軽く私の頭をたたくと立ち上がる。
「ま、伊波への嫌みはこのくらいにしておこうかな」
そう言って、女の子が集まる別の席へとさっさと行ってしまった。
後に残されたのは、呆気にとられた克幸と私。
「……さお、高木とまた何かあったのか」
「……あるといえばあるし、ないといえばない」
「どっちだよ」
「怒らないなら言ってもいい」
「……自信ない」
「じゃ、言わない」
克幸は不審な顔で私を見るけど、ここは無視する事にした。
まぁ、その内機会があったら話してやるか。
放課後、私は克幸が部活を終えるまで待っていた。
いつもなら特に用がない限り、先に帰るんだけど……。
克幸が妙に真剣な顔で、『今日は一緒に帰りたいから』なんて言うから思わずドキッとしてしまった。