アイツは私の初彼氏
言うが早いか、克幸は私の顔を両手で包み込む。
そして、呆気にとられていた私にキスしてきた。
「んんっ……!」
一瞬強く押し付けた後、素早く離れた克幸の口元は笑っていた。
「さお、ありがとな」
「あのなっ……!」
驚きと恥ずかしさで顔が熱くなった私が文句を言おうとすると、得意げに笑った克幸が逃げる。
「じゃーな」
そのまま、家の中に入っていってしまった。
後に残された私は、何だか負けた様で悔しい気持ちになる。
「バカだろ、アイツ……」
ため息をつきながら家に入ろうとすると、誰かに肩を叩かれた。
振り返ると、2人の姉の姿。
「見ーちゃった」
「ラブラブなんだぁ」
「げっ」
しお姉とかお姉が心底楽しそうな顔で私を見る。
うう、面倒な2人に見つかってしまった。
「ここの所様子がおかしいと思ってたら……」
「母さんに報告しなきゃ!」
「や、やめて……下さい……」
私の反論も耳に入ってないのか、姉達は騒ぎながら家に入っていってしまった。
今日は多分、その話題でイジられるに違いない。
克幸め……。
後で絶っっ対文句言ってやるからな!
おわり