アイツは私の初彼氏
ー――そうだ、手の平だけじゃない。
唇だって熱かった、よな?
「……って!」
自分で考えた事に恥ずかしくなって、またクッションを殴る。
ダメだ、何で心臓がこんなにドキドキしてるんだよ……!
「だいたいアイツは兄弟みたいなもんだろ!あんなの数の内に入るか!」
それにファーストキスってわけでもないし。
といっても、相手は女の子なんだけど。
しかも小学生の時で、マセた近所の女の子だ。
あの時の私は本当に男みたいだったから仕方がなかったし、驚いただけで忘れかけていた。
「そういえばあの時、克幸もいたような……」
呆然として立ち尽くした姿が、目の端に映っていた気がする。
でも、
あの時とは違う感覚がした。
「私としかしないって、どういう意味だよ」