アイツは私の初彼氏

「伊波くんてば、暴走？」

一通り話しを聞いた旭はそんな事を言った。

「暴走って、何で……。やっぱり怒ったのか？」

「うーん、ある意味そうだろうけど」

旭は歯切れ悪く口を濁す。

「伊波くんって、さおが好きなんじゃない？」

「好き？好きだと怒るのか？」

「怒るというか、じれた？」

じれた？何に？

私の頭はますます混乱する。

「っていうかさお、今『好き』って言葉スルーしたでしょ」

「スルーって、ちゃんと聞いてただろ？」

「そうじゃなくて、意味分かってる？」

意味？

私が考え込んでいると、旭は大きくため息をついた。

「言っておくけど、ゲームが好きとかの事じゃないのよ？」

一呼吸置いてから、旭はとんでもない事を言った。

「男女の『好き』、よ」