アイツは私の初彼氏
知らない感覚
フェンスに張り付く私を見た克幸は、ため息をついて足元に目を落とす。
「……俺のせいだよな。昨日俺がした事が原因なんだろ?」
そ、それは……そうだが。
けど、私はこんな風に逃げるつもりじゃなかったんだ!
心の中で言い訳しても、目の前の相手には伝わらない。
「でも、それならずっと避けろよ。何で呼び止めた?」
「それはっ、」
言いかけて、言葉に詰まる。
続きを待つような様子の克幸と目が合った。
心臓が早鐘を打ち始める。
「……それが、分かれば苦労しない。私だって自分の行動が分かんないんだよっ」
私は克幸から思わず顔をそらした。
状況に耐えられなくなって、ぎゅっと目を瞑る。
そのまま、しばらく沈黙が続いた。
「さお」
足音がした。
声が、近くで聞こえた気がする。
「何だよっ」