アイツは私の初彼氏
「ま、それに嫌われてるかそうでないかで出方も変わってくるしね」
急に声色の変わった旭がイタズラっぽい笑みを浮かべる。
「出方って、何だよ」
「手の出し方」
って、
「―――手っ!?」
平気な顔をしてそんな事を口走る旭に、思わず私は全身を引きつらせた。
「手を出すって言ってもケンカじゃないんだからね?」
「わ、分かってるよ!」
「あらら、さおの事だからてっきり分からないのかと思ってた」
旭……人が恋愛に興味ないからって、そこまで言わなくても。
私は姉が2人いて、その手の話でしょっちゅう盛り上がってるのを聞いてるから、まるっきり知らない訳でもない。
ただ、自分に当てはめた事がないだけだ。
仕方ないじゃないか。
今まで関係なく生きてきたんだから。