アイツは私の初彼氏


 リビングのテレビの前で2人肩を並べる。

目の前にはゲーム機。

克幸はスプーンをくわえながらコントローラーを操る。

「うわっ、何このモンスター強すぎだろ!」

私が唸ると、克幸が冷静に言った。

「コイツは確かしっぽが弱点だったから、そこを集中的に叩け」

「おうよっ」

2人でゲームするこの時間。
やっぱり克幸とはこうあるのが楽しいよな。

そう、思ってしまう。



「……む」

ゲームの途中で欠伸が出そうになって、思わず留める。

「ん?眠いのか」

「あー昨日ちょっと寝れなく……て、」

言いかけて口を閉ざす。

そうだ、昨日の事すっかり忘れてた。

だいたい、コイツのせいで寝れなかったんじゃないか。

「あ…俺も確かにあんま寝てない……」

「克幸も?」

「……ああ」

やっぱり、昨日の事が原因なんだよな?

「ふうん」

2人で黙りこくる。



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