アイツは私の初彼氏
葛原家の朝


「さお、おはよ!」

「おはよーさお」

朝、ぼんやりする頭をかかえながらダイニングに向かった私は、2人の姉と顔を合わせた。

「しお姉、かお姉、おはよ」

上の姉が詩織(しおり)、下の姉は香織(かおり)という名前だ。

彼女達は大学生で、私とは違って女子街道をばく進している。

髪は長く伸ばし、メイクには時間をかけ、服は念入りに選ぶ。

爪にはもちろん、ネイルアート。キラキラしてたり、デコられてる。



「アンタ、昨日どうしたのよ。好物のシチューも食べないでさ」

自分とは別世界の人間を何気なく見ていると、しお姉が口を開いた。

「そうそう、かっちゃんの家から帰ってきてから変だったよね」

かお姉もそう付け足す。

「ケンカでもしたの?」

母さんが私の分の朝食を並べながらそう言う。



< 34 / 116 >

この作品をシェア

pagetop