アイツは私の初彼氏
葛原家の朝
「さお、おはよ!」
「おはよーさお」
朝、ぼんやりする頭をかかえながらダイニングに向かった私は、2人の姉と顔を合わせた。
「しお姉、かお姉、おはよ」
上の姉が詩織(しおり)、下の姉は香織(かおり)という名前だ。
彼女達は大学生で、私とは違って女子街道をばく進している。
髪は長く伸ばし、メイクには時間をかけ、服は念入りに選ぶ。
爪にはもちろん、ネイルアート。キラキラしてたり、デコられてる。
「アンタ、昨日どうしたのよ。好物のシチューも食べないでさ」
自分とは別世界の人間を何気なく見ていると、しお姉が口を開いた。
「そうそう、かっちゃんの家から帰ってきてから変だったよね」
かお姉もそう付け足す。
「ケンカでもしたの?」
母さんが私の分の朝食を並べながらそう言う。