アイツは私の初彼氏
「……」
沈黙が降りる中で、私に聞こえていたのは克幸のうるさいほどの心音だけだった。
「お前、朝からヒトを驚かせるなよ」
「悪い」
私は急いで克幸から距離を取ると、また道を歩き始める。
けれど克幸に腕をとられて足を止めた。
「なんだよっ」
「さお、次の日曜ヒマか?」
へ?日曜?
突拍子もない質問に、思わず私の目が点になる。
「用事あるのか?」
「用事……?」
何かあったかな。
次の日曜と言って思い出すのは、デカいゲームのイベントくらいか?
「ちょっと付き合ってほしい所があってさ」
もしかして克幸もそのイベント行きたいとか?
「いーよ、別に」
私が快諾すると、克幸はちょっとホッとしたような顔を見せた。
「じゃあ、11時に迎えに行くから」
「おう」
返事を聞いた克幸は私の腕を放し、学校へと歩き出した。